モデル複雑性(Model Complexity)
モデル複雑性は、AIモデルが「どれだけ柔軟にデータへ合わせられるか(=表現力の強さ)」を指します。例えば、直線でしか描けないモデルより、細かく曲がれる曲線モデルの方が複雑です。複雑性が高いほど、学習データにはピッタリ合わせられますが、新しいデータに弱くなる(過学習)リスクが上がります。逆に単純すぎると、そもそもパターンを表せず当たりが悪い(アンダーフィット)状態になります。
この綱引きをバイアス—バリアンスのトレードオフと呼びます。要は「シンプルで外しやすい」vs「器用だけど覚えすぎ」のバランス取り。実務では、①検証用データでの成績、②正則化(後述)や早期終了、③特徴量の見直し、④ハイパーパラメータ(木の深さ、層数、学習率など)の探索で、ちょうどよい複雑性に調整します。
また、複雑性は「パラメータ数」だけで決まるわけではありません。前処理、特徴量設計、データ量・多様性、モデルの構造(例:木の分岐の仕方、ニューラルネットの結合パターン)も効きます。データが少ないのに複雑なモデルは、とくに危険信号。対処は、データ拡張・外部知識の利用(RAGなど)ラベルの品質改善、あるいは一段シンプルなモデルへ落とす選択が有効です。
意思決定の観点では、「ビジネス要件に対して過剰な複雑性はコスト」です。学習・推論の計算費、説明責任(なぜそう答えたか)、保守の難易度が上がります。「要件を満たす中で最もシンプル」を目標にしましょう。
モデル複雑性(Model Complexity)関連用語
モデル複雑性(Model Complexity)に関連する単語は以下の通りです。
- 過学習(Overfitting)
- 正則化(Regularization)
- ハイパーパラメータ
モデル複雑性(Model Complexity)やさしい解説
私たちがスマホで天気を当てたり、アプリが写真の中の犬を見つけたりできるのは、AIモデルがデータから「ルール」を学んでいるからです。ここで大切になるのがモデルの複雑さ。これは「そのモデルがどれくらい細かく、柔軟にルールを作れるか」という性質のことです。
AIにとっての理想は、その場だけ強い選手ではなく、どこでも戦える選手。
直線しか引けない“定規モデル”でも、何でも描ける“フリーハンドモデル”でもなく「必要な形は描けるけど描きすぎない」そんな「ちょうどいい複雑さ」を目指します。
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